
寒さが本格化するこの時期、毎日すこやかに過ごすには「免疫力の向上」が重要です。そこで今回は、腸内環境を整え、免疫力を高める方法について解説します。腸内環境と免疫力のメカニズムに加え、おすすめの食品や心がけたい生活習慣についてもまとめました。
免疫力とは、外部から侵入する細菌やウイルス、体内で発生する異常な細胞からの防御と、病気からの回復を担う「自己防衛能力」のことです。免疫細胞の約7割は腸(5割が小腸・2割が大腸)に存在していると言われています。
腸に免疫細胞が集中しているのは、ウイルスや病原菌は、食べ物と一緒に腸から体内に取り込まれるリスクがもっとも高いからだと考えられています。
加えて、免疫が働く際に不可欠な「異物の記憶トレーニング」も腸で行われていると言われています。「異物の記憶トレーニング」とは、害となるウイルスや細菌を免疫細胞に学習させる訓練で、腸でトレーニングを受けた免疫細胞は、血液を通じて全身に行き渡ります。まさに、腸は免疫力の中枢と言えるでしょう。
そのため、腸内環境が悪くなると、免疫細胞が正常に機能しにくくなります。侵入したウイルスや病原菌への抵抗力が低下し、感染症をはじめとする多くの体調不良に悩まされやすい体質に。つまり、健康維持においては、腸内環境をいい状態で維持することが欠かせません。
良い腸内環境を作るためには「腸内フローラ」と呼ばれる、腸内細菌のバランスを「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の割合に整えることが重要です。このとき鍵を握るのが「短鎖脂肪酸」(善玉菌が作り出す酪酸や酢酸、プロピオン酸などの総称)です。
短鎖脂肪酸には、腸内を弱酸性にして、悪玉菌の増殖を防ぎ、腸内フローラを整える働きがあります。そのほか、便通の改善や免疫機能全体の調整にも、短鎖脂肪酸が関わっています。
短鎖脂肪酸を増やすためには、難消化性炭水化物(消化・吸収が難しい炭水化物)の摂取が重要です。なかでも、善玉菌が短鎖脂肪酸を作り出すためのエサとなる「水溶性食物繊維」はきのこ・海藻類に、「オリゴ糖」は、きなこ・はちみつに多く含まれています。
また、納豆・漬物・ヨーグルトといった発酵食品は、善玉菌を直接摂取できるのに加え、酵素により代謝と血流が促進され、免疫細胞が全身を巡りやすくなる効果も期待できます。
加えて気をつけておきたいのが、規則正しい生活を維持することです。たとえば、毎朝同じ時間の起床・就寝、同じ時間に食事を摂るなど、体内時計を正常に保ちましょう。また、免疫力の維持においては、適度な運動を行い、体を冷やさないことも大切です。