気温の上昇とともに、イライラする日が増えていませんか?春は、気温や気圧が不安定な日が多く、自律神経が乱れやすくなるために、怒りの感情が湧きやすい季節と言われています。そこで今回は、怒りのメカニズムをご紹介します。感情を上手にコントロールして、季節の変化を乗り越えましょう。
怒りは心の問題だと認識されがちですが、実際のところ、人は脳の働きによって怒りを感じています。怒りを感じると、脳の一部である「大脳辺縁系」という場所が活発に働きます。大脳辺縁系は、食欲・性欲・睡眠欲に加え、意欲や喜怒哀楽、情緒や自律神経の調整など、本能的なものをつかさどる部位です。
危険や恐怖を感じると、大脳辺縁系が活発に働いて感情が高ぶり、考えるよりも先に行動することができます。この働きのおかげで、とっさに命を守る行動がとれることもありますが、ときには怒りのままに行動して失敗してしまう…というわけです。
一方、大脳新皮質の中にある「前頭葉」は、怒りをコントロールすることができます。主に、運動・言語・感情をつかさどる前頭葉は、大脳辺縁系が働いて生み出された怒りをコントロールできますが、大脳辺縁系より少し遅れて働くという特徴があります。
これらの特徴を理解し、「怒り=ただの脳の働き」と捉えることができれば、イラっとしたときに、感情をコントロールしやすくなるのではないでしょうか。
怒りを感じたときには「深呼吸」がおすすめです。イラッとしたその瞬間、5秒間息を吸って、10秒間で吐く「1対2の呼吸」を2~3分続けてみてください。
深呼吸をしている間に、遅れて働く前頭葉が機能し、怒りをコントロールできるでしょう。また、深呼吸をすると副交感神経が活発になるため、リラックス効果も期待できます。
そして、睡眠不足だと自律神経が乱れ、怒りっぽくなるので要注意です。イライラしやすい季節は早めに帰宅して、睡眠時間をたっぷりとってください。可能であれば昼休みに15分ほど仮眠をとるなど、心身を休める時間を長く確保してみましょう。
イライラは楽しいことで解消しようとしがちですが、興奮する時間より、ゆったりリラックスする時間を作ることが大切です。ぜひ日々の生活で意識してみてください。