食中毒は、気温の高い夏に多いと思われがちです。しかし、ノロウイルスの患者数に関しては、冬のほうが圧倒的に多いことをご存知ですか?そこで今回は、ノロウイルスの特徴と対策をご紹介。しっかり予防して、ウイルスに負けない冬を過ごしましょう。
ノロウイルスは非常に感染力の強いウイルスで、口や鼻から体内に入ると、おう吐・下痢・腹痛など、食中毒の症状を引き起こします。軽症で回復する場合もありますが、子どもやお年寄りでは重症化したり、おう吐物をのどに詰まらせて窒息してしまったりするため注意が必要です。
厚生労働省の統計によると、ノロウイルスは、冬に患者数が増える傾向にあります。食品が傷みやすい夏は食中毒に警戒をしますが、気温の低い季節は、食品の管理意識や衛生面での警戒を緩めてしまいがちです。寒い季節も、正しい対策を行いましょう。
参照:厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A
ノロウイルスによる食中毒発生状況
とくに近年、食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を摂取し、ノロウイルスに感染してしまう事例が増加傾向にあります。食品に対するノロウイルス対策としては、食材をしっかり加熱することです。食品の中心部の温度が85〜90℃で90秒以上の加熱をすれば、ノロウイルスは感染力を失うとされています。
生の食材を取り扱う際には注意が必要です。生の食材に触れた調理器具などは、しっかりと洗浄・消毒を。また、ノロウイルスに汚染された二枚貝(生や加熱不足のもの)から感染した例が多く発生しています。加熱用の魚介類などは、十分に加熱調理していただきましょう。
さまざまな感染症予防の基本である手洗いも、手指に付着しているノロウイルスを取り除く対策としては有効です。手を洗うときは、手のひらに軽く爪を立てて上下に動かし、爪と指の間もしっかり洗ってください。指輪などは外し、指と指の間や手首までしっかり洗うようにしましょう。
また、清潔なタオルを使うことも大切です。タオルはなるべく1日で取り換えること。そして、洗濯機で洗うときには洗濯物を詰め込みすぎず、正しく洗濯して清潔を保ちましょう。
このほか、消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水による手洗いの代用にはなりません。あくまでも補助的な役割となります。帰宅時・調理前・トイレ後・乳児や要介護者のオムツ交換後などは、石けんやハンドソープなどでしっかり手を洗いましょう。