暑い季節は、熱中症や脱水症に警戒しますよね。そんなとき、意外と見落としがちなのが、汗と一緒に流れ出る鉄分の存在です。暑い季節は気づかないうちに、鉄分不足になることも少なくありません。そこで今回は、汗をかくことで鉄分不足になる理由と、鉄分不足におすすめの食べ物などを紹介します。水分と同時に鉄分もしっかり補給して、暑い季節を健やかに過ごしましょう。
貧血とは、鉄分とたんぱく質で作られている「ヘモグロビン」の血中濃度が低下することです。鉄分が不足すると、結果、ヘモグロビンが不足し貧血症状が現れます。
鉄分は、汗をかくことでも失われます。1Lの汗をかくと、血液中の鉄分が0.3mg~0.4mg程度流れ出るため、たくさん汗をかく暑い季節は、貧血にも注意が必要です。
もちろん、多少の汗であれば、貧血になる心配はありません。しかし、野外の仕事やスポーツで、毎日たくさんの汗をかく方は、発汗による貧血にも警戒しておきましょう。
鉄分の1日の摂取量は、成人男性で7.5mg、月経のある女性で10.5mgが推奨されています。
肉や魚に含まれる「ヘム鉄」は、たんぱく質に包まれており、体に吸収されやすい鉄分です。野菜や海藻に含まれる「非ヘム鉄」は吸収されにくいといわれていますが、ビタミンCやクエン酸、たんぱく質と一緒に摂取すると吸収効率を高めることができます。
このほか、貧血対策には、調理に鉄鍋を利用したり、足りない鉄分をサプリで補給したりすることも効果的です。
ヘム鉄分を多く含む食材としては、レバーや牛肉、赤身の魚などが代表的です。可食部50gあたりのおおよその含有量は、加熱等の調理前の状態で、牛レバー2.0mg、牛肉1.4mg、カツオ1.0mg、キハダマグロ1.0mgとなっています。
非ヘム鉄を多く含む食材としては、豆類やほうれん草などが代表的です。可食部50gあたりのおおよその含有量は、豆乳0.6mg、納豆1.7mg、茹でた小松菜1.06mg、茹でたほうれん草0.46mgとなっています。
なお、どの食材も、鉄鍋や鉄瓶で調理すると鉄分が多く摂れますので、調理器具を見直すのも一案となるでしょう。
吸収されやすいヘム鉄を含む食材のほうが貧血対策には有効ですが、毎日食べるのは難しいかもしれませんので、ヘム鉄、非ヘム鉄、両方の食材を、賢く取り入れてみてください。